夜が来る!
「ネタばれ」は極力避けています。
メーカー | 発売日 | 総プレイ時間 | やってみて度 |
2001年4月 | 40時間 | A |
非常に惜しい、というのが率直な感想です。素性は良さそうなのに、細かいところの配慮が足りずに結果としてイマイチのゲームになってしまった気がします。私はキャラの魅力に激しくヤラれてしまい、思わずおすすめ度Aを付けてしまいましたが…、うーん、どーなんだろう? <サクラ大戦調のゲームデザイン> 非常に魅力的なキャラ、基本的に一本道のシナリオ、そして繰り返しプレイのつらいRPGパート。私にはサクラ大戦とイメージがだぶる構成になっていました。サクラ大戦のキャラ設定を濃くしてHシーンを付け、RPGパートの割合を大きくして制作費を削ると「夜が来る!」になる、っという感じです。今回はオープニングもかなり凝った、TVアニメ顔負けの仕上がりになっていますしね。私はサクラ大戦も大好きなので、この構成はすんなり受け入れられました。 <魅力的なキャラ:男も女も、敵も味方も> 私は、18禁ゲームでは「シナリオ重視派」を気取っていたりするのですが、所詮は女の子とよろしくやることが最大の目的なわけで、そうなると当然「女の子の絵」が気に入るかどうかも、購入時の選択基準の中でかなり高いウェイトを占めています。 このゲームの最大の売り(とゆうか生命線?)は、登場キャラが非常に魅力的なところだと思います。「新世紀エヴァンゲリオン」ではアスカとリツコが双璧の私は、発売前からヒロインの一人、七荻鏡花に並々ならぬ期待を抱いていたのですが、それに違わぬ活躍ぶりで満足できました(ちょっと貧乏くささが目立ちますが)。さらにクールビューティーなマコトも私的に◎です。ちょっとニブ過ぎの先輩・いずみや、趣味に走り過ぎの後輩・真言美は私の守備範囲を外し気味ですが、それぞれいい味を出しています。 <そこそこのシナリオも演出はイマイチ> シナリオ自体はそこそこ良かったと思います。当初は明るい学園モノで、終盤はそれぞれに宿命を背負うヒロイン達を、熱血主人公が叱咤激励しながらラスボスとの最終決戦に向けて突き進む、という感じです。 また、いずみはメインヒロインとして基本の一本道シナリオに最も深くかかわってくるため、他のヒロインを先に攻略すると、いずみ主演の盛り上がるシーンの多くが、いずみ攻略前に出てきてしまいます。そのため、いずみを気に入った方はデザートにとっておかずに、一番最初にクリアするのがいいかもしれません。 <プレーヤーを選ぶRPGパート> プレイ時間の大部分を占めるRPGパートは、主人公+2人の3人パーティーでダンジョンを探索するという、比較的オーソドックスなものです。制限時間が設けられていたり、罠が多かったり(規則性があるため苦にはならなかったですが)、主人公の武器を要素石と呼ばれるアイテムを組み合わせて作ったり、というあたりが特徴的です。 そして当然、4ヒロイン全てを攻略しようと思ったら、このRPGパートも4回やらなければいけないわけですが……。いや、1回目は十分楽しめましたし、成長を引き継げる2回目も、いわゆる特殊攻撃が使いたい放題で敵を圧倒できるのが私好みで良かったです。しかし3回目、4回目となると……、時間の無駄としか思えませんでした。 <よりレベルの高いCGを> RPGメインのゲームなので枚数が少ないのは仕方ないと思いますが、もう少しがんばってクオリティを上げてほしかったのがCGです。 また余談ですが、そろそろ老舗のAliceSoftには率先して、CGの800×600ドット化に動いてほしいものです。一足飛びに、1024×768と640×480の二本立てにでもしてくれれば最高です。CGの美しさがAliceSoftのウリの一つなのですから、それにさらに磨きをかけるべく、高解像度化に向かってほしいです。もっともどこぞのメーカーのように、わずか2ヶ月遅れで高解像度のDVD版を出すなんてことはやめて欲しいですが。 <何故か肌に合わなかったオープニング曲> 音楽は概ね良かったと思います。若干音に深みが足りないかなと感じましたが、これは直前にKanon
やブルマー2000の音楽を聴きまくっていたためだと思います(Kanonはともかくブルマー2000とは何事だ、と思った方。いや、いいんですよ、ブルマー2000も)。私は「The
blue moon」や「Lovers night」あたりが特に好きですし、その他の曲も、音楽CDとして聴いてもいいと思えるぐらいのデキです。 ボイスは、どのキャラにも合っていて良かったと思います。特に戦闘中に入るボイスは、キャラの個性をよく表しており、戦闘時の楽しさをアップさせてくれました。鏡花のダメージを受けたときの声なんか、妙に色っぽくていいですね。 <相変わらずの古いシステム> 今回、私のwin2000環境ではちょっとした不具合が出ました(musicモードで音飛びする等)。また、修正パッチが配布されるなど、AliceSoftにしては安定性はイマイチだったのではないでしょうか。これでは、セーブできるところが限られる、使いにくいメッセージスキップといった弱点を持つ、枯れたシステムを流用することの正当性が失われてしまいます。CGの高解像度化を含めた、新しいシステムの開発をしてもらえると嬉しいんですけどね。 ただ今回は、シーン回想機能があるのが良かったです。一度クリアしてしまえば、主要なイベントシーンを順を追って回想できるので、非常に短時間で再プレイをした気になれます。今後のAliceのソフトにはもちろんのこと、他のメーカーのソフトにもどんどん付けて欲しい機能です。 <キャラが気に入ったら、RPGに目をつぶってでも買おう> 以上、せっかくの魅力的なキャラクター陣を、旧態然としたゲームデザインに組み込むことで、その魅力を活かしきれないゲームに終わってしまったと感じました。ウチのRPGが気に入らないヤツはプレイするな、といわれているようで、ああわかったよ、もうやらねえよ、と答えてしまいそうなぐらい腹立たしいです。製作責任者には猛省を促したいところです。そして次に出るのは古いゲームのリメイク版。AliceSoftの先行きが少し心配になってしまいました。 と、ひとしきり文句をいってしまいましたが、これは私が発売前から異常に期待していたためです。冷静に見れば、AliceSoftが21世紀最初に出したゲームであることもあり、高い水準でまとまっていることは確かだと思います。私も2回目のプレイまでは、相当楽しんでやっていましたし(鏡花&マコトで)。 (2001/06/16 記) |