ラブ・ネゴシエイター
「ネタばれ」はほとんどないと思います。
メーカー | 発売日 | 1プレイ時間 | やってみて度 |
2001年10月 | 3〜4時間 | A |
秋葉原ソフマップの販促物(A4判20ページの設定資料集+ポスター)にまどわされ、発売2日目についウッカリ購入してしまいました。しかし、LiarSoftの仕様とまでいわれる大きな不具合はなく(後日パッチは出ましたが)、サクサクッと楽しむことができました。 < 笑えるが一本芯が欲しいシナリオ > ラブコメです。メガホン片手に悪を討つ恋愛交渉人:根越・栄太(ねごし・えいた)と、彼をとりまく4人のメインヒロイン、そして各話ごとに登場する5人のゲストヒロインが繰り広げるドタバタコメディが楽しめます。 恋愛交渉人という訳のわからない職業の主人公を筆頭に、超人気やおい同人漫画家なヤクザの娘や正義のヒーロー(ヒロインか)に変身する中学生、さらに腹話術の助手とやりあう美少女探偵や自衛隊御用達のアイドルなど、普通のゲームなら一人いれば十分なイカレた設定のキャラが目白押しです。私はLiarSoftが送り出すキャラのほとんどに魅力を感じてきているのですが、今回もみな良いですね。私のトップスリーはナタリア、さち坊、亜美です。これらのキャラが、短くもキッチリと作られた一話完結のシナリオで面白おかしく活躍してくれます。こんなこと書いちゃっていいの?とゆう笑える業界ネタもあり。 しかし残念なのは、全編を通して核となるべきストーリーが弱いことです。私が今までにプレイしたLiarSoftの作品は、表面は馬鹿やってるんですが根底にあるストーリーがしっかりしていて、ともすれば感動的なラストに繋がっていくわけですが、今回はイマイチ。とってつけた感が否めません。そのため、作品全体としては「お笑いコメディ短編集」のような感じになってしまっています。まあそれだけでも楽しいことは楽しいんですが、全体でみると弱いというのはちょっと、いやかなりもったいないですね。製作時間が足りなくてまとめきれなかったんでしょうか? < ネゴバトルが意外とまともで面白い > 今回の新機軸・ネゴバトルは、愛に迷う各話のゲストヒロインを、恋愛交渉人たる根越が言葉巧みに説得するというものです。プレーヤーは画面に表示される3つの文節の中から一つを選びキーボードでタイプし、これを3回繰り返して一つの意味のある文章にして相手に叩きつけます。効果的な文章を選べば説得が進んでいきますが、誤った選択を何回かすると説得失敗→ゲームオーバーになってしまいます。なお、タイピングの制限時間は変更することができるので、キーボードが苦手な人も安心です。 < 表情の描き分けが上手いCG > LiarSoftが採用する原画家さんは、いつも私の中の基準で「納得のいく絵」を描いてくれるのですが、今回もその例に漏れませんでした。微妙な表情の違いでキャラの複雑な心理を表す技術は、表情の描き分けはおろか安定したキャラの描き分けも出来ない他メーカーの原画家さんにも見習ってほしいぐらいです。しかし男性キャラの筋肉ムキムキはちょっと.......。 立ち絵は1キャラ1枚ずづで、あとは小ウィンドウ内の顔の表情がコロコロ変わるタイプです。結構豊富に用意されていて、コメディタッチの会話とあわせて楽しませてくれます。一方、イベントCGの数は少なめ。ただ今回はHシーンのCGがいつものLiarSoftよりは多目かな。 < いいんだけど数が少ないと感じる音楽 > 音楽は今回もいいですね。前作ほど「これは!」と思う曲はなかったんですが、どの曲も例えば1曲1曲ばらして他のゲームに里子に出しても、恥ずかしくない出来に仕上がっていたと思います。私が好きなのは通常シーンの「Happy Hippies」、戦闘時にかかる「Fight like talking」「Battle, under the moon」、エンディングテーマ「Sky scraper in the dawn」あたりです。オープニングも相変わらずやってくれます。かっこいいですね。 ただプレイ中、曲数ははっきりと少なく感じました。音楽鑑賞モードを見るとそんなに少ないわけではないんですが。これはたぶん、同じような音色やテンポの曲が多かったからだと思います。次回作では「曲数が多いな」と感じさせる工夫が欲しいところです。 ボイスは今回も問題なしです。とぼけたキャラによく合う「桜井さちえ」の声が特にお気に入りです。 < 無いほうが良かった?の陵辱シーン > 私の中で賛否両論あるのが、特定の条件を満たした状態でネゴバトルに負けると出てくる陵辱シーンです。実は私の下半身はアリスソフト系の陵辱シーンが大好きなのですが、そんな私でも半分以上のシーンで目を背けたくなるほどの陰湿さです。いや、単にそのシーンだけ見ればたいしたことはなく、明るくお馬鹿な通常シーンとのギャップが激しすぎるのが問題なのかもしれません。とにかく私は、1回目プレイの第一話でこれを喰らってからしばらく、通常シーンも心の底からは楽しめなくなってしまいました。本当に「遣り過ぎ、ですよ」。これが否の理由です。 < 目立つ不具合もなく軽快なシステム > 動作は非常に軽快です。会話のテンポが命のコメディタイプのゲームには、ゲーム全体もサクサク動いて欲しいものです。今回のシステムは大きな不具合もなく、安定していてしかも軽快でグッドでした。CG鑑賞や音楽鑑賞の画面などのデザインが洒落てるのもいいですね。次回作もぜひこんな感じで。 < いろいろと難はあるけど楽しめる > メインシナリオの弱さが私にはかなり期待はずれだったのですが、それでも全体に丁寧にまとめられていて、気軽にサクッと楽しめるソフトに仕上がっています。タイピングの練習にもなるかもしれないですし。 |