星空☆ぷらねっと

  前半は「ネタばれ」はほとんどありません。後半、断ってからは「ネタばれ」のオンパレードになっています。

 

メーカー 発売日 1プレイ時間 やってみて度

D.O.

2000年12月 4時間 S

 

 まずはじめにお断りしておきますと、主に以下の2つの理由により、このゲームに対する私の評価は高めになっています。

・同じくD.O.が作成した「加奈〜いもうと〜」にとても感動した
・学園ラブコメものに非常に弱い

 本当に、笑いと感動がミックスされた大作だと感じました........。

 

 このゲームは、メーカーであるD.O.の創立10周年記念作品として発売されたものです。企画発表から発売までの期間が長く、また音楽プロデューサにあの野村義男氏を迎える、発売記念イベントを開くなど、メーカーもかなり力を入れたようです。

< 笑いあり、感動あり、脇役も充実 >

 基本的に学園ラブコメ調の雰囲気で包まれており、会話のテンポが私好みで思わず吹き出す個所も多々ありました。そのため、繰り返しプレイも苦になりません。しかし、メインキャラ達がシリアスな問題を抱えていることが多く、それを克服していく終盤はググッと感動させてくれました(キャラによって、笑いと感動の割合が違うのも良かった)。

  6人のヒロイン達は、みな魅力的です。一人を除いて主人公と幼なじみであり、一度転校した主人公と久しぶりに再会します。そして、それぞれが持つ悩みや苦しみを主人公と共に乗り越えながら、愛を育んでいきます。また主人公の言動がしっかりしており、彼自身の成長物語という一面もあるため、自然に感情移入することができました。

  このゲームの場合、クラスメイトや先生、先輩といった脇役陣が粒ぞろいなのも見逃せないと思います。お笑いにもシリアスにもきっちりとからんできて、ストーリーを盛り上げます。さらに部活動を筆頭に、修学旅行や体育祭、文化祭などのイベントがしっかりと用意されているため、ヒロイン達との恋愛だけではない、充実した学園生活が体験できると思います。

< 生き生きとした立ち絵CG >

 絵は、立ち絵の表情がとても豊かで、そのコロコロとした変化が楽しめかなり良いです。メーカーサイトで見たときは、頭が大きく胸もやたらに強調されていたので、どうなることやらと思いましたけどね。おまけのCG閲覧機能には、立ち絵も表情や服装ごとに登録してくれればいいのになあ。

  一枚絵もきちんと描かれている感じがして良かったのですが、んっ?と首をかしげたくなるような表情のものも結構あったりして......。

< 素晴らしい音楽、臨場感ある効果音 >

 音楽がまたいいんです。オープニングとエンディングのみ歌付なのですが、特にエンディングは、ちょっと稚拙にも感じる歌い方が青臭いストーリーにマッチし、非常にいいです(私はもうおじさんなのです)。その他、これ本当に18禁ゲームのBGM?映画とかドラマとかに使えるんじゃないの?っという曲もあり、やってくれたねヨッチャン!という感じです。さらに、効果音(コーヒーを吹き出す音など)がやたらにリアルで、臨場感を盛り上げます。

 

 というわけで、老舗ソフトハウスの記念作品に相応しい素晴らしいゲームだ、と私は感じました。特に以下の事項に一つでも該当する方々は、是非購入することをお勧めします。
  ・笑いたい人
  ・感動したい人
  ・学園ものが好きな人
  ・「実践フルコンタクト天文観測」という言葉に魅力を感じる人
  ・LiarSoftの「行殺☆新撰組」、「ブルマー2000」を面白いと思った人
   (逆のパターン「星プラ好き→LiarSoftも好きになる」は、保証の限りではありません)

 

 

 

 以降はネタばれ「あり」、というかプレイ済みの人にしか分からないような感想になります。そういうのはちょっと.....という方は、感想Topページへ戻ってください。

 

 

 

 6人のヒロインそれぞれの感想を、攻略順に書いていきます。

< 1人目:真田恭子 >

 私の嗜好の一つである、「頼れる年上キャラ好き」というのにヒットしたこともありますが、18禁ゲームにはめずらしく?運動部員としての学園生活を楽しめるという点に惹かれて、佳多奈を後回しにしてまで一番に攻略しました。
 ヒロインの中で一番お気に入りなのが恭子です。頼れる存在でありながら結構(とういかかなり)ボケも入っており、ひょうひょうとしたところが良かったです。しかも実は主人公の存在にいやされていたということも。子供時代の入浴シーンも燃えますね。
 そして恭子シナリオはなんといっても、脇役陣の充実振りが他を圧倒していました。剣道部員の宮本はいいヤツだし、田中さんもかわいい。これに真田三兄弟が加わるのだから、もう怖いものなし。田中さんの瞬獄断頭台(DVD版で追加CGにしてくれないだろうか)や、主人公と瞳の同棲疑惑事件、さらに三兄弟の真ん中、弘のイカれた言動など、笑えるエピソードに事欠きません。
 大介君の悪役っぷりもなかなか。恭子ちゃん、主人公が帰ってきて本当に良かったね。

 

< 2人目:藤原佳多奈 >

  私は何度このゲームをプレイしても、佳多奈との再会後最初の選択肢で、「手をさしのべる」を選んでしまうんです。「黙って見ている」が選べません。こういう不幸をしょいこんでいる(ように見える)キャラは、真っ先に攻略してハッピーエンドを迎えたくなります。というわけで、2番目は佳多奈です。
 感動しました、このシナリオには。2年生になった佳多奈がプラネタリウムの発表を行った際のジョンの台詞には、思わずもらい泣きです。再び自閉しようとする佳多奈を、主人公がぎりぎりで止めるくだりも良い。お母さんとの積み木のエピソードを語る場面や、もちろん病院屋上での謝罪シーン、周りの人のセリフは全て覚えているという設定などなど......挙げていってはきりがありません。
 他のヒロインの絡み方も良かったです。恭子はいうに及ばず、瞳のヤキモチの焼き方もかわいらしくてGoodでした。ラブコメっていいですねえ。

 なお、本作をプレイ済みの方のほとんどが行われるように、もちろん私も「かたな=佳多奈」はMS-IME2000に単語登録済みです。

 そして、最後の最後の終わり方、私はあそこで終わってよかったと思っています。理由は単純で、「せっかく幸せをつかみつつある佳多奈が、若くして死んでしまう」という悲しい結末を迎えるのを見たくないからです。それに、例え早くに死んでしまうとしても、主人公と短くも幸せな時を過ごすであろうことが、私には想像できる終わり方です(加奈〜いもうと〜を先にプレイしていたからかな?)。
 といっても私の中では、かなり苦しいですが以下のように考えて、佳多奈が幸せな生活を比較的長く続けることになっています。

パターン1. 早めに子供を作って幸せな家庭を築き、40歳ぐらいまでは生きる

 現在、日本女性の平均寿命は80歳を超えています。劇中の佳多奈の状態を、「普通の人の半分しか生きられない」と強引に仮定すると、40歳まではOKなんではないかと。子供を産むのは苦しいかもしれないなあ。

パターン2. 主人公が宇宙飛行士になると同時にイディオ=サヴァンの能力が消え、以降は普通に幸せに暮らす

 主人公の「宇宙飛行士になるという夢」の達成のためには、自分がイディオ=サヴァンの能力を活用して側面援護した方がいいと(無意識に)考え、その能力を残した、というのはどうでしょう。それならば、彼が宇宙飛行士になってしまえば、能力は必要なくなり、普通の生活をおくれるようになります。
 回復前の彼女はイディオ=サヴァン能力のほかに(あるいはその一部として?)、宇宙から何らかの信号を知覚して分析するという能力を持っていました。その能力を、主人公の「宇宙人はいるのか」という問いに答えるために、佳多奈が「自ら望んで」獲得した能力と考えます。そしてその能力は、目的を達成して消滅しています。つまり、佳多奈は「主人公のため」であれば、特殊能力の取捨選択ができると仮定します。その佳多奈が主人公の宇宙飛行士になるという夢を知った場合、その達成のために本来失われるべきイディオ=サヴァンの能力を残す、ということは可能ではないでしょうか。 

 

< 3人目:サーシャ・ノーブルグ >

 まず言いたいのは、あの後日談には興醒めしたということです。なんじゃそりゃ!っと。主人公があまりにも唐突に、宇宙飛行士になっていたもので。

 がしかし、それまでのストーリーが良かったのでトータルではまったく問題ありません。オードリー・ヘップバーン主演の「ローマの休日」を彷彿とさせる展開で、サーシャの間の抜けたセリフや、黒服を振り切っての逢引、2人を優しく?見守るディネイ、そしてイワン先生登場によるシリアスな展開など、おおいに楽しめました。しかも最後の記者会見は「ローマの休日」と異なり、彼女にその決意を語らせて主人公との再会を予感させ、そのままエンディングテーマに突入するというもので、私にとってはこのゲーム一番のエンディング。これで終わらせてくれても良かったのに........。

 また本シナリオには、このゲーム全体を通して最も納得のいかない点があります。.........なぜ?なぜ?何ゆえにディネイさんのあられもない姿を描いたCGがないのだ!
 いくら私でも、朝子ちゃんや島崎さん、百歩譲って高倉さんのエッチなCGを用意しろとは言いません。しかし、田中さんや二ノ宮部長の着替えシーン、朝末先生なんて主人公とのHシーンまであるのに、彼女達以上の登場頻度を誇り、かつ年齢的にも無難なディネイさんに何故このような仕打ちを!!その他CGが全て埋まってしまった時は、本当にガックリきました。DVD版での追加を最も望むCGです。
 その代わりといってはなんですが、本シナリオにのみ朝子ちゃんがでてくる一枚絵のCGがあるのは良かったです。彼女のしている手袋がかっこいい。

 

< 4人目:ゆかりちゃん >

 明るく前向き、頭の回転が速く毒舌で、運動神経も抜群と、こんな魅力的な女の子に主人公が励まされ、自分の夢を取り戻していくことに焦点を当てたストーリー。
 ゆかりちゃんというキャラ自体はとても好きです。会話のテンポがよく、一緒にいて楽しそうですよね。彼女のシナリオには目立った脇役は出てきませんが、彼女との会話自体が面白いので問題ないです。
 ただ、シナリオでは彼女自身のことはあまり語られないため(子供時代のエピソードもほとんどない)、他のシナリオと比べるとどうしても印象が薄くなってしまいます。しかしそれは他のキャラのおかれている状況が普通ではないだけであって、ゆかりちゃんのように特に問題なく、ちょっと現状に退屈しているだけという高校生は一般的ですよね(性格は普通ではないですが)。こういうキャラと普通に?恋愛しつつ、励まされながら一緒に成長する主人公というシナリオも、あって良かったと私は思います。いいじゃないですか、宝くじが当たることなんて結構ありますよ。1000万円というのはちょっとなんですが。さらに超新星の発見というのもちょっとアレですが。
 とにかく、明るく楽しいストーリーで、私の好みのシナリオです。

 このシナリオには人を選ぶジョークその1、「亜鉛の摂取をおすすめします」がでてきます。これについては、舌の上にある味を感じる感覚器には亜鉛が不可欠で、これが不足すると味がよくわからなくなる、ファーストフードばかり食べている若者が亜鉛不足になりやすい、とテレビで見た記憶があります。こういうジョークがわかると、思わずにやりとしてしまいます。

 

< 5人目:相馬蘭子 >

 非常にかっこいい終わり方だと思いました。お互いのやりたい事をやり遂げるため、今は敢えて別れようという二人を見ると、私もこんな時間にこんな場所でこんな文章書いてる場合じゃないな、と思ったりします。このシナリオはゆかりちゃんとは逆に、主人公の夢はほとんど語られず、彼女のドラマに焦点が当たったシナリオになっていたと思います。
 ただ、実は蘭子はキャラ的にはあまり好きではなかったりします。理由はともかく、中盤で主人公に「べたべたしてくる」(感動的な砂場のシーンより抜粋)キャラは、今一私に響いてこないのです。あと、高倉さんはもう少し魅力的な性格に描いてほしかったなあ。

 このシナリオには人を選ぶジョークその2、「振り返ると塩の柱になる」がでてきます。これはかなりうる覚えなのですが、キリスト教関係の昔話で、栄華を極め神への信仰を忘れた街が神の怒りに触れ滅ぼされた時に、直前に逃げ出した信仰の厚い主人公一家のうち物欲の強い奥さんが、「決して街を振り返るな」という神の警告に逆らって振り返ってしまい、たちまち塩の柱になったという話に基づいたものだと思います。

 

< 5.5人目:今村朝子 >

 瞳を攻略しようとしたら、誰にも引っかからず帰省してお終い、というエンディングになってしまいました。このときかわいい事をいってくれるのが、妹の朝子ちゃん。僕は決してロリコンではないはずなんだけど、彼女はいいですね。もちろん、彼女メインの一枚絵CGが無いことには、非常に憤慨しています。ということで、DVD版ではここで彼女の笑顔大写しのCGを是非!

 

< 6人目:星見瞳 >

 メインヒロインということで、最後にとっておいたのが星見瞳。このゲームの根底に流れるテーマ、「宇宙飛行士になりたいという夢の達成」が最も顕著になるシナリオで、メインシナリオといってもいいのではないかと思います。笑うことで得られるパワーについてのくだりや、決してあきらめずに夢を追いかけていく姿勢などには、こちらも励まされます。最近、時代の雰囲気を反映してか、街を行く人々の表情が険しくなっているような気もします。みんな瞳のように笑って元気に過ごせると良いですね。

 このシナリオでの私のお気に入りは、二ノ宮部長の存在です。この少し反則気味のぶっ飛んだ設定には、大いに笑わせてもらいました。他のキャラの繰り返しプレイ時も、彼女の初登場シーンだけはスキップ解除で何度も見ています。まさかあるとは思わなかった着替えのCG、さすがに格闘家だけあってきれいな身体をしてました。慎太郎といいコンビが組めるんじゃないかなあ。それでいてシリアスな設定もあり、最後までがんばってくれました。

 

< 次作にも期待 >

 以上です。ダラダラと書いてきましたが、私にとっては2000年発売の18禁ゲームの中で最高の作品でした。D.O.さんの次の清純系ゲームにも期待します。

 ただ次作では、脇役陣にもう少し突っ込んだ役割を持たせて欲しいです。これは「加奈〜いもうと〜」でも感じたのですが、せっかく魅力的な脇役がいるのに、ストーリーへの絡み方が今一つ足りないように思います。今回、特に慎太郎などは、子供時代の回想ではいい味を出しているのに、高校生になってからはかろうじてギャグメーカーとしての立場を維持しているにすぎません。恭子シナリオにおける長兄誠なみの活躍はして欲しかったです。宮本なんかにも、もう少しがんばって欲しい。島崎さんには、例えば佳多奈に対する心情などを語らせるとかすれば、もう少し印象に残ったと思います。
 また、後日談の終わらせ方に気をつけてほしいです。せっかくの後日談なのに、クリックしていると突然タイトル画面に戻ってしまい、余韻にひたる間もありません。最後の文章に「END」とか付けてくれるだけでもいいと思うんですが。

 

 私がこのゲームを買ったのは、2000年12月24日(日)。一人暮らしを始めてから恒例のシングルベル、日曜日ということで格別に空しい。心を癒してくれるソフトを求めて秋葉原へ。
 20世紀を締めくくる最後のゲームであるため、どうしても外したくない。ということで、第一候補はネット上での評判が高く、デモ版もとても気に入ったotherwiseの「Sense off」。二番目は同じく評判の高いニトロプラスの「Phantom」でした。しかしこの二つ、なかなか見つからない。
 ここでふと目に付いたのが「星空☆ぷらねっと」でした。実は、あまり期待していなかったんです。メーカーサイトのCGは今一つに感じていたし、転校した主人公が故郷に戻ってくるという、某超人気ゲームの二番煎じのような設定に憤慨していたからです。ただ「加奈〜いもうと〜」がとても好きだった関係で、D.O.というメーカーに好感を持っていたため購入を決断しました。結果、素晴らしい世紀末を過ごすことが出来ました。

 

 

 

 

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