群青の空を越えて
(暫定版)

 とりあえず、若菜&美樹をクリア。登場人物の言動に若干難がありますが、おおむね破綻なく真面目に進むストーリーと、手に汗握るリアルな空戦描写はなかなか。あと、意外にエロいです。
 続いて加奈子ルートクリア。むしろ真・若菜ルートと名付けたい。それと、ラストのキスシーンはトシにすべきでした。あの直前から主人公とトシの役割を逆にしてたら、ものすごく良かったんだけどなあ。最後に日和って主人公活躍させたのが残念。しかし、かなり好きですこのルート。 

メーカー

対応OS

修正ファイル

発売日

プレイ日

プレイ時間

やってみて度

light

win98〜XP

あり

2005年9月

2005年9月

初回約7〜8時間

A

 

シナリオ

・長い。初回はボイスをそこそこ飛ばしながら8時間程度。共通ルートも半分を切っていると思われ、後半の展開はヒロイン毎に大きく異なる。
 ・基本的に形勢不利な状態での現代航空戦。しかも一発逆転のミラクルは無いリアル志向。主人公さえ死の予感バリバリ。
 ・ヒロイン視点の文章を多用し、各キャラを掘り下げているので人間ドラマに深みが出る。
 ・若菜&美樹のENDは、それなりにハッピー。ストーリーの締め方も悪くない。
 ・空戦時や発進準備等の描写がかなりソレらしく、燃える。もっと空戦シーンがあってもよかった。
 ・釣り橋効果も手伝い、長いシナリオを利用して恋愛展開は良い。んだが、クライマックス付近で言動が理解不能になる。所詮私に従軍経験はありませんから。
 ・昨今の世相を反映してか、キレやすい学生たち。普段は落ち着いた連中が多いだけに気になる。
  ・学生たちが戦っている理由がよくわからない。
 ・Hは各ヒロイン3〜4回。キャラ描写がリアルだからか、ヒロインが「気持ちいいっ!」と連呼するからか、はたまた単純にテキストがいいのか、意外にエロい。若菜のトイレHとかエロ過ぎ。

CG

・イベントCGは多くはないが、欲しいと思ったところには大抵ある。
 ・原画は比較的安定しており、独特な塗りに慣れればOK。目をつぶって叫ぶ立ち絵だけはキツいが。猫又ですか?
 ・3Dで描かれる戦闘機はかなりカッコいいが、少なすぎ。美樹ルート最後の離陸シーン、ミサイル外した差分ムービーぐらい用意しろと。
 ・ENDINGで未攻略ヒロインのネタバレCGを出すのはやめてくれ。

音楽/ボイス

・BGMの質はそれなり。ただいつも同じ曲がかかってる感じがするし、使いどころがおかしな場面も。
 ・ENDINGに流れるボーカル曲は、もっと明るい曲でいい。救いようがないENDでもないんだし。
 ・ボイスは主人公を含め全キャラフルボイス。知った名前の声優がほとんどいないが、クオリティに不満なし。美樹役の人を始め、ヒロインsはみな上手い。
 ・効果音が手抜き。会話シーンで上空を戦闘機が通過したときは、爆音の効果音を使え。

システム

・ADVとしての機能は一通り揃っているが、動作にモッサリ感あり。メニュー等のデザインにもセンスが感じられない。
 ・後半の作戦検討シーンでは、多摩川、相模川、習志野等の位置関係がわかる地図を用意するとよかった。
 ・修正パッチあり。動作確認済みビデオカードリストがあるぐらいにはアヤしいシステムなので、できれば体験版で確認を。

根本的な疑問さえ抱かなければ、おそらく多分楽しめる

体験版から予想あるいは期待したとおりのデキでした。極近未来の日本を舞台にした戦争モノ、というリアルな設定に負けないシナリオで、ヒロイン視点の文章を多用して(し過ぎだが)主要キャラの心理描写をキチっとやってくれるので、後半死人が出て悲しむ主人公たちに感情移入することができます。戦闘シーンも緊張感タップリで、少ないのが勿体ないぐらい。ヒロインもステレオタイプな萌えキャラには無い魅力があり、ついでにエロいため、恋愛部もそこそこ。私のようなエセ軍事オタはもちろん、そうでないユーザーでもそれなりに楽しめる仕上がりになっていると思います。
 ただ、どうせリアルには徹しきれない架空戦記ものなんですから、もうちょっと遊び心があってもよかったと思うんですけどね。敵側の女性エースパイロットと相打ちで海に墜落、無人島で一晩一緒に明かして「次に会ったときは敵としてあなたを(以下略

メーカーHPの作品紹介を見て単純に興味をもった人は、できれば体験版で動作&雰囲気を確認した上で、購入してOKかと思います。

 

 

以下は、私同様メーカーHPを見て「イタい設定だなあ」と思った人orプレイ済みの人向けの感想です。既に買う気マンマンの人は見ない方がいいと思います

 

 

 


 私が痛いと思ったのは、日本が内戦状態に陥っているという設定。首都圏近郊で育ってきた私にとって、単一民族国家である日本が分裂して血で血を洗う内戦に突入するなど、逆立ちしたってあり得ない話です。百歩譲って沖縄とかアイヌの人とかなら、わからんでもないですけどね。それとも関西とか東北に住んでる人(でエロゲしそうな人)って、関東と我々は違うって意識が少しでもあるのかな? よくわかりません。一応作中では、遺伝子がちょっと違う等の設定が与えられていますが、そんな設定をいくら語られても感覚的に理解できない。実際に現時点で西と東にどの程度の民族的差異があり、どう対立していったかの具体的な説明があれば、また違ったんでしょうけどね。

ただ、内戦状態という設定自体は、そういうもんだと割り切ってしまえば何とかなります。何ともならないのが、「学生たちが何で戦争しているのかがわからない」こと。変にリアリティーを出そうとして関西側を極端に悪く書いていないため、学生が大挙して馳せ参じる大義が関東側にはありません。一部の先鋭的な学生だけならともかく、数万人規模で参加する理由がサッパリ。当然、登場キャラ達が関東側の理念について熱く語るシーンもなし。そりゃそうです、そういう想いを設定しようが無いんだから。これで、いざ開戦間近になって「死にたくないっ!」とか叫ばれて感動を煽られてもねえ。お前ら、もうウチに帰れと。強制的な学徒動員じゃあるまいし。万歳突撃なんて何かのギャグかと思いました。
 普通の架空戦記モノなら、こんな違和感はありません。例えばガンパレードマーチなら、敵は話の通じない化け物ですし、銀英伝みたいに国家vs国家でも、それだけで若者が戦う理由としては申し分ない。現代日本の内戦などという痛い設定にしたが故の、本作の致命的な欠陥です。若菜ルート終盤などは、主人公側が狂信的テロリストにしか見えず(特に美樹)、むしろ負けてくれ、死んでくれと思ったぐらい。せめて関西側に旧社会主義国家のような恐怖政治をとらせるとか、内戦ではなくアメリカと中国の覇権争いに日本が巻き込まれた、みたいなわかりやすい設定にしてくれればよかったんですけどね。作中でいくら登場人物の心理描写をリアルにしても、根本の部分がこれでは砂上の楼閣に過ぎません。円経済圏構想とか、大半のエロゲプレーヤーにはどうでもいい設定に凝らず、登場人物たちの言動に説得力を持たせることに腐心するべきでした。そういう意味では同人レベルのシナリオです。

もっとも、普通の学園恋愛モノに「何でこんなウダツの上がらない主人公がモテモテなんだっ!!」と文句を付けるようなものかもしれませんし、気にしないように努力しながら他のヒロインもやってみようと思います。砂上ではあっても、かなり出来のいい楼閣ですので。

 

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